処方薬の効果と副作用

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人工涙液マイティア点眼液の効果と副作用

人工涙液マイティア点眼液は1965年から発売されている点眼液になります。

その名の通り「涙」に似た成分で作られており、なんらかの理由で涙が少なくなってしまった状態に使用されます。

マイティアは涙に類似した物質であるため、「少なくなった涙を補う」という自然な機序で涙液減少を改善させることが出来ます。また副作用もほとんど認めません。

最近では新しいお薬の登場によって徐々に使用される頻度は少なくなっていますが、点眼液のベースとも言えるお薬になります。

マイティア点眼液はどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんは使うお薬なのでしょうか。

マイティア点眼液の効果や副作用・特徴などを紹介していきたいと思います。

 

1.マイティア点眼液の特徴

まずは人工涙液マイティア点眼液の特徴を紹介します。

マイティア点眼液は涙液に似た成分で作られており、点眼することで涙を補い、眼を潤す作用があります。

マイティアの最大の特徴は、その成分が涙に非常に似ているという事です。元々眼に備わっている「涙」自体を補うため、生理的な機序で眼の乾燥を治す事が出来るのです。

また人工とは言え、涙の成分に似せて作っているため安全性は極めて高く、点眼することによる副作用もほとんどありません。

以上から人工涙液マイティア点眼液の特徴として次のような点が挙げられます。

【人工涙液マイティア点眼液の特徴】

 ・涙の成分に良く似た成分であるため、生理的
・人工涙液が目の乾燥を改善させてくれる
・涙と似た成分であるため副作用が極めて少なく、安全性が高い

 

2.マイティア点眼液はどんな疾患に用いるのか

マイティア点眼液はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

下記における涙液の補充

涙液減少症
乾性角結膜炎
コンタクトレンズ装着時(ハードコンタクトレンズのみ)

難しい用語で書かれていますが、ざっくりと言えば「涙が少なくなっている状態」「眼の乾燥」に用いるという認識で良いと思います。

実際の臨床でも、ドライアイの方の眼を保湿するために用います。また、それ以外にも何らかの理由(お薬の副作用やコンタクト装着)で目が乾燥している場合にも用いられることがあります。

 

3.マイティア点眼液にはどのような作用があるのか

マイティア点眼液はどのような機序でドライアイを改善させているのでしょうか。

マイティアは、涙と似た成分で作られています。

その配合はマイティア1ml中、

塩化ナトリウム 5.5mg
塩化カリウム 1.6mg
乾燥炭酸ナトリウム 0.6mg
リン酸水素ナトリウム水和物 1.8mg
ホウ酸 12mg

となっています。

そもそも「涙」ってどんな役割があるのでしょうか。

涙は一般的には「悲しい時」に出るというイメージがありますが、実は涙というのは悲しい時以外でも定期的に少しずつ分泌されているのです。

その役割は、

  • 眼の表面の保湿
  • 眼の表面の異物除去
  • 眼への栄養補給

などが挙げられます。

眼は乾燥すると、傷つきやすくなります。皮膚も乾燥してしまうと、ひび割れやすくなったり傷つきやすくなりますね。眼も基本的にはそれと同じです。

眼の表面(角膜)の傷つきを防ぐためには、眼を保湿しておく必要があるのです。

また涙は涙腺から分泌され、涙道から吸収され鼻腔へ流れていきます。これは眼についてしまったばい菌などを洗い流すはたらきをしています。

何らかの理由で涙の分泌が少なくなってしまうと、これらの役割が行えなくなります。すると、眼の表面(角膜)が傷つきやすくなったり、ばい菌が繁殖しやすくなってしまいます。

それを防ぐために投与するのが、人工涙液であるマイティア点眼液なのです。

 

4.マイティア点眼液の副作用

マイティア点眼液にはどんな副作用があるのでしょうか。

ドライアイ治療に用いられる点眼液は、基本的に安全性が高いものがほとんどです。マイティアも同様に安全性は非常に高く、副作用はほとんどありません。

生じる可能性のある副作用としても、

  • 過敏症状

が報告されている程度です。

過敏症状というのは、お薬が体質的に合わなかった際に生じるアレルギー反応で、マイティアに限らずあらゆるお薬に生じる可能性のある副作用になります。

 

5.マイティア点眼液の用法・用量と剤形

マイティア点眼液は次の剤型が発売されています。

人工涙液マイティア点眼液 5ml

また、マイティア点眼液の使い方は、

通常、1回1~2滴を1日5~6回点眼する。なお、症状により適宜増減する。

となっています。

マイティアは涙と同じで、時間が経つと涙道から吸収されてしまいます。効果を安定させるためには1日5〜6回という頻回の点眼が必要になります。

実際はきっちり1日6回点眼するというのは難しいでしょうから、ある程度幅を持たせた点眼法で良いと思われますが、詳しくは主治医に確認してください。

 

6.マイティア点眼液はコンタクトレンズの上から点眼していいのか?

点眼液を処方すると、患者さんから良く聞かれる質問があります。

それは「コンタクトを付けたまま点眼して大丈夫か?」というものです。

この回答は、「ハードコンタクトレンズなら可能」「ソフトコンタクトレンズは要注意」というのが答えになります。

点眼薬の多くは、防腐剤としてベンザルコニウム塩化物が含まれていますが、これはソフトコンタクトレンズに吸着してしまい、コンタクトレンズを変形させる恐れがあると考えられています。

そのため防腐剤が入っている点眼液は、ソフトコンタクトレンズ装着時には点眼しない方が良いのです。

そしてマイティア点眼液にもベンザルコニウム塩化物が含まれています。そのためソフトコンタクトレンズ装着時の点眼は推奨されません(ハードコンタクトレンズ装着下は点眼可能です)。

しかし実際の臨床では、1Dayなどの期間の短い使い捨てコンタクトレンズであればソフトタイプであっても、「コンタクトレンズの上から点眼しても良い」とする先生も多いようです。

これは、マイティア点眼液中に含まれるベンザルコニウム塩化物が1dayコンタクトレンズに吸着してしまう可能性はあるのだけれども、1日で使い捨てるタイプのコンタクトレンズであれば、吸着によるトラブルが生じる前にコンタクトレンズを破棄することになるため、ほとんど問題とならないからです。

反対に2weekタイプであったり、長く使用するタイプのソフトコンタクトレンズを使用している場合は、マイティアをコンタクトレンズ装着下では使用しない方が良いでしょう。

どうしても点眼液を使いたい場合は、ヒアレインミニ(一般名:ヒアルロン酸ナトリウム)など、防腐剤を含まない点眼液に変更しましょう。

 

7.マイティア点眼液が向いている人は?

以上から考えて、マイティア点眼液が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

マイティア点眼液の特徴をおさらいすると、

 ・涙の成分に良く似た成分であるため、生理的
・人口涙液が目の乾燥を改善させてくれる
・涙と似た成分だえるため副作用が極めて少なく、安全性が高い

などがありました。

ドライアイ治療薬の中でマイティアは、生理的な機序で眼の乾燥を改善させてくれるお薬になります。効果は穏やかですが、副作用もほぼありません。

そのため眼の乾燥症状が軽度であり、安全性に特に留意して自然に治したいという方には良い適応となります。